「うちは母も叔母も乳がんで……私も遺伝なんでしょうか?」
家族に乳がんの方が複数いると、不安になりますよね。
乳がん全体の5〜10%は、生まれ持った遺伝子の変化が関わっている「遺伝性」と言われています。代表的なものを整理しておきましょう。
代表は「HBOC(遺伝性乳癌卵巣癌症候群)」
遺伝性乳がんでもっとも多いのが、HBOC(エイチビーオーシー)です。
BRCA1/BRCA2は、もともと「DNAの修復」を担当する遺伝子です。設計図に小さな傷ができたときに、それを直す係。この係に変化(変異)があると、傷の直しが追いつかずに、がんが発生しやすくなります。
詳しくは No.1012 HBOCとBRCA検査 で解説します。
そのほかの遺伝性疾患
HBOC以外にも、乳がんと関連する遺伝性疾患があります(頻度は低め)。
主な遺伝性疾患
- Li-Fraumeni症候群(TP53変異):若年での乳がん・肉腫など
- Cowden症候群(PTEN変異):乳がん・甲状腺がん・子宮体がんなど
- Peutz-Jeghers症候群(STK11変異):乳がん・消化器がんなど
- CDH1変異:小葉癌・胃がん
- PALB2変異:BRCAに次ぐ頻度
- ATM変異:放射線への感受性が高い
- CHEK2変異:乳がんリスクがやや上がる
これらは頻度こそ少ないですが、検査でわかれば、ご自身や家族の予防・早期発見につながります。
「遺伝性かも」と疑うサイン
家族歴のなかで、こんなパターンがあると遺伝性の可能性が考えられます。
遺伝性を疑うパターン
- 自分または血縁者が45歳以下で乳がんになった
- 自分が両側の乳がんになった
- 自分または血縁者が卵巣がんになった(年齢問わず)
- 男性の血縁者が乳がんになった
- 血縁者にトリプルネガティブ乳がんの人がいる
- 1家系で3人以上の乳がん患者がいる
- すい臓がん・前立腺がん(転移性)の血縁者がいる
ひとつでも当てはまる方は、主治医に「遺伝性かどうかの相談」を打診してみてもいいかもしれません。
遺伝カウンセリングという選択肢
遺伝性疾患の検査を受けるかどうかは、本人と家族の人生に影響することなので、慎重に決める必要があります。
そこで日本では、検査の前に遺伝カウンセリングを受けることが推奨されています。
カウンセラーが、
- 検査でわかること・わからないこと
- 検査結果が出たあと、家族にどう伝えるか
- 予防的手術や検査をどう考えるか
などを一緒に整理してくれます。
「検査して陽性だったらどうしよう」と怖くなる気持ち、よくわかる。でも、知らないままで不安を抱え続けるより、知って対策できる方が、未来の自分を守ることになるよ。