転移・再発した乳がんの治療は、早期治療とは考え方そのものが違います。
「がんを完全になくす(治癒)」というよりも、「がんと長くうまく付き合っていく」という戦略になります。
「治す」から「長く生きる」へ
進行・再発乳がんでは、
- がんを小さくする
- がんの増殖を止める
- 症状をコントロールする
- 生活の質(QOL)を維持する
ことが治療の目標になります。
「再発=終わり」ではなく、「再発=長く付き合う」と考え方をシフトすることが、何より大切です。
治療は「薬を順番に試す」イメージ
進行乳がんの薬物治療は、「薬の引き出し」を順番に開けていくイメージ。
薬の選択順序(例)
- 1次治療:効きそうな薬から始める
- 効かなくなったら → 2次治療へ
- 効かなくなったら → 3次治療へ
- … 引き出しを順番に
サブタイプによって、どの引き出しから開けるかが違います。
ホルモン陽性HER2陰性
- 1次:CDK4/6阻害薬 + ホルモン療法(フルベストラント or AI)
- 2次:別のホルモン療法(PIK3CA変異ならカピバゼルチブも)
- 3次以降:抗がん剤、HER2 lowならエンハーツ
HER2陽性
- 1次:パージェタ+ハーセプチン+タキサン
- 2次:エンハーツ(T-DXd)
- 3次以降:T-DM1、ツカチニブなど
トリプルネガティブ
- 1次:抗がん剤(PD-L1陽性ならキイトルーダ追加)
- 2次:トロデルビ、HER2 lowならエンハーツ
- BRCA変異:オラパリブ
治療を選ぶときの軸
治療を続けるか・休むか・別の薬に変えるかは、
判断の軸
- 効果:画像で評価
- 副作用:生活の質を保てるか
- 本人の希望:何を大事にしたいか
- 残された選択肢:将来も見据えて
を総合して、主治医と相談して決めていきます。
進行乳がんとの付き合いは、長距離マラソンに似ているんだ。
全力疾走じゃなくて、走ったり、歩いたり、休んだりしながら、自分のペースで進めばいい。
緩和ケアは並行して
進行乳がんの治療では、緩和ケアを早い段階から並行するのが推奨されています。
緩和ケア=終末期ケア、ではありません。痛みや吐き気、心の負担などを和らげる包括的なケアです。
詳しくは No.2039 緩和ケアとは を。