手術をしても全身治療が必要な理由

「手術でしこりを全部取ったのに、なんで抗がん剤やホルモン療法までやるの?」

ものすごく真っ当な疑問です。答えはひとつ。

目に見えない「がんのタネ」が、すでに全身に散らばっている可能性があるからです。

ミルクの通り道を破った時点で、外の世界へ

浸潤がん(ステージⅠ以上)は、ミルクの通り道(乳管)の壁を破って、外の世界に出ています。

外の世界には、血管やリンパ管が通っています。一部のがん細胞は、この管に入り込んで、全身に流れていっている可能性があります。

がんのタネが散っているサイン

    • リンパ節転移がある
    • 脈管侵襲(血管・リンパ管への侵入)がある
    • グレードが高い
    • 増殖が速い(Ki-67高)
    • HER2陽性、トリプルネガティブなどのタイプ

これらが当てはまるほど、目に見えないタネが散っている可能性が高くなります。

タネのうちに摘んでしまう

手術はあくまで「見えるがん」を取る治療。見えないタネを退治するには、

  • 抗がん剤:全身を巡って、増殖の速い細胞を狙う
  • ホルモン療法:ホルモン陽性のタネに「栄養を断つ」
  • 抗HER2療法:HER2陽性のタネを狙い撃つ
  • 免疫療法:免疫の力でタネを攻撃

といった全身治療が組み合わされます。

タネが芽を出してから戦うよりも、タネのうちに摘んでしまうほうが、再発を防げる、というのが現代の戦略です。

まとめ