「全身治療」と一言でいっても、その中身は多彩です。乳がんで使われる全身治療の種類を整理しておきましょう。
① 抗がん剤(化学療法)
増えるスピードが速い細胞を狙って、増殖を止める薬。
代表的な抗がん剤
- アンスラサイクリン系:EC/AC療法
- タキサン系:ドセタキセル、パクリタキセル
- カペシタビン(ゼローダ)
- TS-1(エスワン)
副作用:脱毛、吐き気、骨髄抑制など全身的。
② ホルモン療法
ホルモン陽性乳がんに対して、女性ホルモンを減らす/届かないようにする薬。
代表的なホルモン療法
- タモキシフェン(閉経前後どちらも)
- アロマターゼ阻害薬:レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン(閉経後)
- LH-RHアゴニスト:リュープリン、ゾラデックス(閉経前)
- フルベストラント(進行・再発時)
副作用:更年期様症状、骨粗鬆症、ホットフラッシュなど。
③ 抗HER2療法
HER2のアンテナを狙い撃ちする薬。
代表的な抗HER2薬
- トラスツズマブ(ハーセプチン)
- ペルツズマブ(パージェタ)
- T-DM1(カドサイラ):抗体薬物複合体
- T-DXd(エンハーツ):もっと強力なADC
副作用:心臓機能低下、間質性肺炎(特にエンハーツ)。
④ 免疫療法
免疫のブレーキを外して、がんを攻撃させる薬。
- ペムブロリズマブ(キイトルーダ):PD-L1陽性のTNBCで使う
副作用:免疫が暴走することによる多臓器の影響。
⑤ 分子標的薬
特定の分子を狙い撃ちする薬。
主な分子標的薬
- CDK4/6阻害薬:アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ
- AKT阻害薬:カピバゼルチブ
- mTOR阻害薬:エベロリムス
- PARP阻害薬:オラパリブ
⑥ 骨修飾薬
骨転移や骨粗鬆症に対する薬。
- ゾレドロン酸、デノスマブなど
組み合わせて使う
これらは単独ではなく、サブタイプに応じて組み合わせて使います。