みなさん、乳がんの治療って、いくらかかるかご存じですか?
実は治療のパターンによっては、3割負担でも、トータルで500万円近くかかることがあります。たとえば「手術・入院+術後の抗がん剤+ベージニオ(アベマシクリブ)2年+ホルモン療法7年」とフルコースになると、それくらいの額になることも。
「そんな大金、払えない……!」——そう思いますよね。
でも、そんな私たちを救ってくれるのが、高額療養費制度です。ひと月の自己負担には所得に応じた“上限”があり、それを超えた分は、払わなくて済みます。
そこでこの記事では、次のことをまとめていきます。
- 高額療養費制度を利用するための準備
- 申請が間に合わなかった際の払い戻し申請の方法
- よくある勘違い
高額療養費制度とは(おさらい)
公的医療保険には、ひと月の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」があります。上限を超えて払った分は戻ってくる仕組みです(上限額は所得で決まります。金額は No.4004 高額療養費制度の上限額 を)。
ただし本来は「いったん窓口で3割を払って、あとから戻ってくる」流れなので、入院・手術だと一時的に数十万円を立て替えることになります。この立て替えをなくすのが、この記事の本題です。
結論:マイナ保険証なら「自動」で上限まで
いまは、いちばんかんたんな方法がマイナ保険証です。
マイナ保険証での受け方
- 窓口でマイナ保険証(または資格確認書)を提示する(カードリーダーにかざす)
- それだけで、支払いは最初から上限額まで(立て替え不要・事前申請も不要)
紙の健康保険証は2024年12月2日で新規発行が終わりました。マイナ保険証を登録していない方には「資格確認書」が交付され、これで受診できます。これからは、マイナ保険証か資格確認書での受診が基本です。
マイナ保険証が使えないときは
次のような場合は、マイナ保険証での自動適用ができません。
- マイナ受付に対応していない医療機関・薬局にかかるとき
- そもそもマイナ保険証の連携(登録)をまだしていないとき
※ オンラインでの資格確認は2023年から原則すべての医療機関・薬局に義務づけられているので、マイナ受付に対応していない施設は、いまはほとんどありません。
このようなときの対応は主に2通りです。
① そもそもマイナ保険証を登録してしまう
マイナンバーカードがあれば、次のどれかで、保険証として使えるように登録できます。
マイナ保険証の登録方法
- 医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーで登録する
- スマホ/パソコンの「マイナポータル」から申し込む
- セブン銀行のATMから申し込む
(マイナンバーカード自体をまだ持っていない方は、先にカードの発行が必要です。)
② マイナ保険証を未登録の方は「資格確認書」
マイナ保険証を使わない方には、「資格確認書」が交付されています。
「資格確認書」を提示し、同意を得てオンライン資格確認ができれば、窓口での支払いは自動的に上限額まで抑えられます。
※以前は「限度額適用認定証」が必要でしたが、現在はオンライン資格確認に対応している施設(2023年から義務化)であれば不要です。
どちらも間に合わなかったとき:あとから払い戻し
マイナ保険証も資格確認書も使えず、窓口で3割を全部払った——そんなときも大丈夫。あとから「高額療養費」の払い戻しを申請できます。
この払い戻しは、入院と外来(や、複数の病院)で上限額を何回か払ってしまったときにも、同じ申請で使えます。その月のそれぞれの領収書をまとめて出すと、保険者が合算して、ひと月の上限1回分を超えた分を返してくれます(これを「世帯合算」といいます)。
払い戻し申請に必要なもの
- 高額療養費の支給申請書(加入先の窓口・ホームページで入手)
- 医療機関でもらった領収書(コピーで可のことが多い)
- 振込先の口座がわかるもの
- マイナンバーや本人確認の書類
まとめ
※この記事は一般的な制度の解説です。手続きの詳細は加入先の保険者やお住まいの自治体によって異なるため、必ずご確認ください。
2026年7月更新:マイナ保険証・資格確認書の最新運用(限度額情報の同意操作の廃止など)を反映しました。
参考(公式情報):