「手術の前に、抗がん剤をしましょう」
こう言われると「進行してるってこと?」と不安になりますよね。
実は、術前抗がん剤(NAC:Neoadjuvant Chemotherapy)は進行を諦めたわけではなく、むしろ戦略的な選択です。
NACのメリット
術前抗がん剤の良いところ
- しこりを小さくして、部分切除が可能になる
- リンパ節転移を消せる可能性
- 薬の効き具合を実際の体で確認できる
- 効きが良ければ、術後の治療を軽くできる
- 効きが悪ければ、術後の治療を強化できる
特にサブタイプによっては、効きが良ければ生存率も上がることが分かっています。
NACのデメリット・注意点
術前抗がん剤の気をつけること
- 抗がん剤の副作用が先に来る
- 治療期間が長くなる感覚(手術が3〜6ヶ月後)
- 術前に効きが悪い場合、急いで手術へ
- 全員が劇的に効くわけではない
NACが特に推奨されるケース
NACが選ばれやすい乳がん
- ステージⅢ(局所進行)
- HER2陽性乳がん
- トリプルネガティブ乳がん
- 部分切除を希望するが、しこりが大きい
- 炎症性乳がん
逆に、Luminal A型(ホルモン陽性HER2陰性、Ki-67低)では、NACの効きが比較的弱いため、先に手術することが多いです。
NACで「がんが完全に消えた」場合(pCR)
NAC終了後の手術で、しこりも含めてがん細胞が完全に消えていたことを「pCR(病理学的完全奏効)」と言います。
NACで「ぜんぶ消えた」とわかっても、手術はおすすめされます。理由は、画像では見えなくても顕微鏡レベルで残っているかもしれないこと、また再発予防のためです。